【個人年金】受け取るときにかかる所得税と贈与税

誰しも望む穏やかな老後の生活。

そのために準備している個人年金にも受取るときに税金がかかることを知っていますか?

個人年金の契約者と受取人、また受取方法が異なると

雑所得・一時所得・贈与所得、

と、所得の種類が変わり、課税方法もそれぞれ異なります。

ここでは個人年金保険を受け取るときに発生する税金について、一般的な内容をお伝えいたします。

 

ーーー目次ーーー

🌼個人年金を受け取ったときにかかる所得税と贈与税
🌼雑所得は ”受取年金額” から ”支払った保険料” を引いた金額
🌼”受取年金額” と ”支払った保険料” の求め方
🌼年金を一度に受け取ったときに生じる一時所得
🌼一時所得の課税金額を求める計算方法
🌼契約者と受取人が異なるときの贈与税と所得税
🌼おわりに

 

個人年金を受け取ったときにかかる所得税と贈与税

<契約者が夫の場合の個人年金と税金>

契約者と年金受取人が同一人のとき

毎年受け取る年金は所得税の ”雑所得” として

一括で受け取る場合には ”一時所得” として

税金がかかります。

 

また、契約者と受取人が異なるとき

年金として受け取った場合の1年目は贈与税となり、

2年目以降から所得税のして課税されます。

 

雑所得は ”受取年金額” から ”支払保険料” を引いた金額

雑所得は、1年に受取る年金額から必要経費(保険料または掛金の額)を差し引いた残額が

25万円以上の場合に源泉徴収され
(参考 国税庁HP)

雑所得の課税金額は以下の計算式で求められます↓
雑所得の課税金額=受取年金額-支払保険料

受取年金額(1年間に受け取った年金の総額)
支払保険料(1年間の年金支給額にたいして支払った保険料の総額)

支払保険料は1年間に支払った保険料の金額ではありませんので注意が必要です。

 

受取年金額” と ”支払保険料” の求め方

<受取年金額>

”受取年金額” は契約したときに決めた年金額と、それに上乗せされる配当金などを合算した金額です。

配当金は現代の低金利情勢ではほとんど上乗せされていませんが、変額個人年金ではプラスされる可能性があります。

 

<支払保険料>

”支払った保険料” は以下の計算式で求められます↓
支払保険料=受取年金額 × 支払保険料総額 / 年金の総支給見込み額

 

・総支給見込み額の計算

必要経費の計算で用いる年金の総支給見込み額は、契約時に営業員さんが持ってくる設計書や契約締結後に発行される保険証券に記載されている場合もありますがここでは計算方法をお伝えします。

 

総支給見込み額は、個人年金の種類によって少し違います。

個人年金保険には

確定年金(契約時に支給期間を選択する年金)と
保障期間付終身年金(最低支給期間が決められている年金)があります。

確定年金は受取期間が決まっていますから計算もかんたん。

それに対し、保障期間付終身年金は生きている限り支給され続けるので少し工夫が必要です。

さらに保障期間があるため、亡くなっても保障期間分の年金が支給され、これらをあわせて考え無ければなりません。

そのため終身年金の支給期間は余命の年数または保障期間年数のいずれか長い年数(A)として計算します。

 

つまりそれぞれの年金の総支給見込み額は

・確定年金の場合:総支給見込み額=年金年額×支給期間

・保証期間付終身年金の場合:総支給見込み額=年金年額 × (A)

となります。

 

雑所得は合算して課税される総合課税

ひとつの個人年金では雑所得の課税金額が25万円に満たない場合が多くあります。

とはいえ、雑所得は総合課税です。

株式譲渡による雑所得や源泉分離課税に当てはまるものを除いて、ほかの雑所得と合算して課税されるので注意が必要です。

 

雑所得の種類には

公的年金
非営業用貸金の利子
著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税
講演料
放送謝金
ビットコインやFX取引などで生じた利益

などが該当します。
参考 国税庁HP

これらの所得がある場合には課税される可能性が高くなります。

 

年金を一度に受け取ったときに生じる一時所得

個人年金を受け取るとき、一度に全額を受け取ってしまう方法があります。

その際に発生するのが一時所得です。

一時所得は継続的に発生する給与や労務の対価としてではない一時の所得のことを言い、総合課税です。

 

一時所得の課税金額を求める計算方法

一時所得は以下の計算式で求められます。

一時所得の課税金額=受取年金総額 ー 必要経費 ー 50万円(特別控除額)× 1/2

 

税制面での優遇措置にはー50万円の特別控除があり、さらに1/2をかけたものが課税金額となります。

 

そのため、個人年金単体で考えると一時所得として課税されない場合もありますが、雑所得同様に総合課税のため、その他に一時所得があれば合算して課税されます。

 

契約者と受取人が異なるときの贈与税と所得税

贈与税は1年間に110万円まで所得から控除され、控除後の金額によって税率が10%~55%と変わります。

110万円の控除は1年間に贈与を受けた財産の合計額に適応されるので、そのほかに贈与財産のある方は注意が必要です。

 

2年目からは契約者・受取人が同一人の場合と同様に雑所得となり、所得税の課税対象になりますが、雑所得の金額は3.8万円となり、25万円未満であることから課税対象にはなりません。

 

おわりに

雑所得・一時所得の所得税、贈与税の対象になるかどうかはひとりひとりの個人年金の内容や受取方法によって変わります。

また、長く積み立てている間に配当金が出ることもあり、受取金額が変わってくると課税される金額もかわってきます。

もちろん税金だけではなく、その後の人生やお金の状況なども総合的に考えたいところ。

年金で受け取るのが良いのか、一時金か、それとも一部だけ解約してまとまった金額を受け取るのか、より豊かな人生にするために受け取り方も選びたいものです。

 

 

 

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佐藤ひろ美。ファイナンシャルプランナー(AFP)・資産形成アドバイザー。 栃木県宇都宮市を拠点に活動。特定の金融商品に片寄らない中立安全な場を提供し、今も老後もパッと明るくなる資産形成をご案内。北海道から九州まで約800件もの資産形成や家計改善をサポート。 自分も家族も大切にして今よりもっと彩豊かな人生を楽しむための方法を教えます。