【退職金】役員に次いで一般社員の課税も厳しくなります!負担増の税額もシュミレーション
退職金は「長い間ご苦労さまでした」といった意味合いから、所得税・住民税が軽くなるように優遇されています。
退職所得控除額は勤続20年を超えると飛躍するのですが、もし控除しきれず税金が引かれるとしても課税所得の半分ですむようになっているんですから手厚いですね♪
ただし2012年に役員退職金制度が改正されたのに続いて2022年には一般社員の退職金についても厳しくなります。
勤続年数5年を境に課税の計算式が変わってくるので、それぞれについて解説しますね。
1.「勤続年数5年以下or超」とは?
役員期間が4年11か月であれば「勤続年数5年」、役員期間が5年1ヶ月であれば「勤続年数6年」となります。
2.退職所得控除額の計算方法
勤続年数が5年超の場合、退職所得控除額は役員も一般社員も同じ計算式で求められます。
ところが勤続年数5年未満になると役員と一般社員では計算方法が変わるんです。
・【勤続年数5年超】役員・一般社員
「勤続年数5年超」の役員・一般社員の退職所得控除額はつぎの計算式で算出できます。
勤続年数20年以下の方
勤続年数×40万円
となり、最大800万円まで
勤続年数21年以上の方
800万円 +{(勤続年数ー20年)×70万円}
となります。
たとえば23歳から65歳まで42年間勤務したあと、退職金を受取ったとすると
800万円+{(42年ー20年)×70万円}=2,340万円
ということで退職金額 2,340万円までは税金がかかりません。
このときもし退職金が3,000万円だとしたら、
(3,000万円ー2,340万円)×1/2=330万円
ということで税金がかかるのは330万円(課税所得)に対してです。
つまり330万円に対して20%の税率がかかり、控除額427,500円が差引かれて、所得税は約23万円。
他の所得と合算されることがないのも嬉しいですよね~♪
税率が抑えられて税金も軽くなります。
・【勤続年数5年以下】役員
「天下り」が社会問題になったことから勤続年数5年以内の「役員」は「特定役員」とされ、退職所得の課税が厳しくなっています(2012年度税制改正)。
役員というのは・・・
①法人役員
②国会議員・地方議員
③国家公務員・地方公務員
です。
そのうち勤続年数が5年以下の役員が「特定役員等」です。
「特定役員等」の退職所得控除額は「退職金を受取っている勤続期間が重なっているかどうか」によって計算式が変わるので気をつけてくださいね。
重複期間がない場合
この場合の退職所得控除額は次の計算式で求められます。
40万円×特定役員等勤続年数
たとえば特定役員勤続年数が5年だとしたら、退職所得控除額は200万円です。
重複期間がある場合
この場合の退職所得控除額は次の計算式で求められます。
40万円×(特定役員勤続年数ー重複勤続年数)+20万円×重複勤続年数
たとえば
特定役員勤続年数:5年
重複勤続年数:2年
としたら
40万円×(5年ー2年)+20万円×2年=160万円
となり退職所得控除額は160万円です。
・【勤続年数5年未満】一般社員
そしていよいよ2022年以降は従業員の退職金についても課税が厳しくなりました。
今まで一般社員の退職金に対する課税は、課税所得 “全体” に対して1/2だったのですが、近年は転職などが増えている背景があり
退職金から「退職所得控除額」を差引いた金額のうち “300万円まで” の金額のみ1/2課税となったんです。
そして300万円を超えた金額についてはそのまま課税されることになりました。
<2022年以降の従業員退職金課税イメージ>
改正前と改正後の所得税・住民税負担を比べてみますね。
勤続年数5年以下の従業員が1,000万円の退職金を受取ったとすると、改正前よりも改正後のほうが約45万円も負担が多くなります。
3.退職金の注意点
従業員も役員も、勤続年数5年超の「退職所得控除額」を求める計算式は同じです。
役員の退職金適正額を求めるときには通常「功績倍率法」で求められることが多いのですが、こちらはあくまで適正額であって控除額ではありませんから誤解のないように退職金を設定してくださいね。
役員・一般社員の退職金を全額損金で準備をする方法は小規模企業共済だけではありません。
雇用年齢が高齢になってきている時代、保険の特例を使った方法も使えますよ。
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