【雇用保険】就職時・退職まえに知っておくべき!介護や育児でも受けられる5つの給付金
雇用保険制度は労働者の雇用を安定させ、生活を守るための制度で、社会保険制度のひとつです。
でも社会保険って複雑で、雇用保険に入るとどんな良いことがあるのかってよくわからないですよね。
ここでは雇用保険に入ると受けられる5つの給付金についてわかりやすくお伝えします。
ぜひ働き方の参考にしてください。
目次
1.雇用保険でもらえる5つの給付金
雇用保険に加入しているとつぎの5つの給付金をもらうことができます。
①求職者給付
:失業者したときに支給される手当
②就職促進給付
:早期再就職・再就職などをすると支給される手当
③職業訓練給付
:就職を目的として職業訓練を受けると支給される手当
④雇用継続給付
:職場で円滑に働き続けられるように支給される手当
:→高年齢雇用継続給付
:→介護護休業給付
⑤育児休業給付
:育児期間中も職場で円滑に働き続けられるように支給される手当
それぞれ一つずつ解説しますね。
①求職者給付
「求職者給付」というよりも「失業手当」と言った方がピンとくるかもしれません。
それまで雇用保険に加入していた人が自己都合退職やリストラ、会社の倒産などで職を失ったとき
ハローワークで手続きをすると「働く意思がある」ことを前提に、失業中の生活を安定させる目的でもらえます。
その支給額は1日当たりの賃金の45%~80%(賃金が低い人ほど高い割合)で、年齢によって上限がありますから事前に確認しましょう。
そして給付日数は自己都合か会社都合かで変わってくるのでこちらもチェックしましょうね。
・求職者給付(失業保険)の支給日数
自己都合退職の場合、雇用保険加入期間が1年以上で90日~最大150日間支給されます。
20年以上働いて退職というよりも多くの方の場合は20年未満ですから、90日か120日間失業保険が支給されています。
<自己都合退職の場合の支給日数>
一方で会社都合の場合は雇用保険加入期間が1年未満であっても失業保険が支給され、
90日~330日受取ることができます。
<会社都合退職の場合の支給日数>
退職をする際には自己都合か会社都合かによって失業手当がずいぶん変わるのでなるべく会社都合を模索したいところですね。
ちなみに、近年増えている「早期退職制度」で、会社が希望退職者を集うことがあるかもしれません。
その場合は「会社都合扱い」になりますから早期退職を考えている人は前向きに検討しやすいかと思います。
自己都合のように給付まで3ヵ月待つ必要もなく、約1週間で失業保険を受取ることができますよ。
・その他の求職者給付
そして基本手当の他にもつぎの3つの手当があります。
●技能習得手当(受講手当・通所手当)
●寄宿手当
●傷病手当
・技能習得手当(受講手当・通所手当)
「受講手当」は職業訓練を受けた日にもらえる手当で、支給額は500円です。
ただし上限額があり、最大40日分2万円が限度です。
「通諸手当」は職業訓練を受ける人がその場所まで通うバスや電車代として支給されます。
こちらも上限があり、月額42,500円です。
・寄宿手当
職業訓練を受けるために、訓練を受ける人が生計を維持している家族と離れて寄宿する必要がある場合に受けられます。
支給額は月額1万700円です。
・傷病手当
業務外の事由による病気や事故で連続4日以上働けないとき、4日め以降から1日当たりの給与の2/3が通算1年6ヶ月支給されます。
2.就業促進給付
就業促進給付は失業者が早期再就職をすると受けられる給付金です。
・就業促進手当
就業促進手当にはおもにつぎの3つがあります。
●再就職手当
●就業促進定着手当
●就業手当
「再就職手当」は基本手当の支給残日数が1/3以上ある方が受けられます。
基本手当の支給残日数が2/3以上ある方
支給残日数×70%×基本手当日額
基本手当の支給残日数が1/3以上ある方
支給残日数×60%×基本手当日額
「就業促進定着手当」は再就職手当の支給を受けた方で再就職先に6ヶ月以上雇用され、再就職先の6ヶ月間の賃金が離職前の賃金より低い場合に、離職前の賃金と同程度になるように支給される給付金です。
支給額には上限があり、基本手当でまだもらっていない支給額の40%となっています。
「就業手当」は基本手当の支給期間を一定期間以上残して非正規雇用などに早期に再就職した方が受けられる給付金です。
正社員などの常用社員ではなく、あくまで常用社員以外の方が対象です。
支給額は1日あたり最大1,836円(60歳以上65歳未満は1,485円)と大きくはありませんが
賃金に上乗せして受取れる給付金なので嬉しいですね。
・移転費
働き先が決まって就業するために「引越しが必要」とハローワークの所長に認められたときに受取れるのが移転費です。
お住まいの地域のハローワークと引越し先のハローワークの距離が片道200キロ以上あることがひとつの条件で、時間にしておおよそ4時間ほど。
交通費に限らず宿泊費なども支給されますから、遠方に勤務先が決まったときもお金の心配は軽減されます。
・求職活動支援費
職業訓練や求人先での面接で子どもの保育サービスを利用したときなどに受けられる給付金です。
支給額は利用して支払った金額の80%ですが1日あたり6,400円が上限です。
3.教育訓練給付
厚生労働大臣の指定を受けた約14,000の教育訓練のなかから再就職のために受講・修了した方に対し、その費用の一部が支給される制度です。
訓練のレベルなどに応じて大きく3種類に分けられていてレベルが高いものほど給付率もアップしますから
給付率も参考にしていただくとより就職に有利に訓練を受けやすいのではないでしょうか。
<厚生労働省サイト>
3種類の訓練と給付率
●一般教育訓練(英語検定・簿記検定など)
受講費用の20%
上限10万円
●特定一般教育訓練(介護職員初任者研修・大型自動車免許・税理士など)
受講費用の40%
上限20万円
●専門実践教育訓練(専門学校・大学、IT資格・介護福祉士など)
受講費用の70%
年間上限56万円・最長4年
4.雇用継続給付 5.育児休業給付
就業したあとに働き続けられるかどうかも気になるところですよね。
就業生活を円滑に継続していくための給付金は3つあります。
●高年齢継続給付
:高齢労働者の賃金補てん
●介護休業給付
:介護休業をしたときに支給
●育児休業給付
:育児休業をしたときに支給
・高年齢継続給付
60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者のうち、60歳になったときの賃金がそれまでの75%未満になってしまった方は
最大で賃金の15%を受取ることができます。
ただし65歳になるまえに老齢年金を受けている方などが高年齢継続給付金を受ける権利がある場合は老齢年金が一部支給停止されることがあるので事前に確認しましょう。
・介護休業給付
介護休業給付は支給要件を満たす介護休業について、支給対象となる同じ家族1人あたり93日を限度に3回まで、
1日当たり2/3の金額が支給されます。
1ヶ月介護休業をした場合の支給額はおおよそ次のとおりなので参考にしてみてくださいね。
●平均15万円程度の場合
支給額 月額10万円程度
●平均20万円程度の場合
支給額 月額13.4万円程度
●平均30万円程度の場合
支給額 月額20.1万円程度
介護給付は介護休業終了後に職場復帰することを前提に支給される給付金です。
つまり、退職を希望している方には支給されません。
もし退職を希望している場合でも、給付を受けてから退職の意向を示した方が賢いですね。
支給要件は無期雇用者と有期雇用者では異なるので、事前に確認しましょう。
・育児休業給付
「産休手当」は健康保険から産休中の女性従業員が給与の2/3を支給してもらえるものですが
雇用保険に入っていることで男女ともに取得できるのが「育児休業給付金」です。
育児休業でも給与の2/3の金額が支給され、原則として子どもが満1歳になるまで受けられます。
でもなかには保育園に入園できない、いわゆる待機児童となってしまうケースもありますよね。
そのため平成29年に最長2年間の育児休業が可能になり、産休と合わせると最大2年3ヶ月の休みを取ることができるようになりました。
正社員だけでなく非正規雇用であっても、産休・育休後に 復帰して働く意思があれば受けられる休業給付金 ですから、
退職を考えているとしても働く意思を上司に伝えてまずは産休・育休を。
6.雇用保険加入の条件とは?
さて、ここまで下記5つの給付金についてお話してきました。
①求職者給付
:失業者したときに支給される手当
②就職促進給付
:早期再就職・再就職などをすると支給される手当
③職業訓練給付
:就職を目的として職業訓練を受けると支給される手当
④雇用継続給付
:職場で円滑に働き続けられるように支給される手当
:→高年齢雇用継続給付
:→介護護休業給付
⑤育児休業給付
:育児期間中も職場で円滑に働き続けられるように支給される手当
これらの給付金はどれも「雇用保険」に加入していることで受けられる給付金です。
そして働く意思や働きつづける意思があることを前提として支払われます。
雇用保険の加入条件
●1週間の労働時間が20時間以上
●31日以上の雇用が見込まれている
目の前の手取額も大事ですが、雇用保険が100年時代の家計に与える影響は大きいのです。
そのことも考えて冷静に働き方を選択していきましょう。
※2022年10月からパートやアルバイトなどの短時間労働者も社会保険に加入しやすくなります。
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