【個人年金】受け取るときににかかる税金の計算方法 確定年金と保障期間付終身年金ではどう違う?

個人年金は契約者と年金受取人が同じとき、毎年受取る年金は「雑所得」として税金がかかります。

ここでは代表的な2つのタイプの個人年金について、課税される雑所得の計算例をご紹介します。

 

1.雑所得の金額を求める

雑所得は(総収入-必要経費)で求めることができます。

計算式はいたってかんたんですが、総収入と必要経費の求め方はちょっと複雑です。

・総収入と必要経費の計算方法

■総収入

総収入はつぎの3つの年金を合計した金額です。

配当金があるタイプでは受取りを開始したはじめの年は1と2を合計した金額になります。

2年目以降は1~3を合計した年金年額になります。

1. 基本年金
契約時に決めた年金額で確実に受け取れる

2.増額年金
年金の受け取りを始めるまでの積立配当金で買い増しされる年金。無配当タイプの個人年金にはなし。

3.増加年金
年金を受け取り始めた後の配当金で買い増しされる年金。

ただし、2と3は積立の運用利率が下がっているときにはあまり期待できません。

 

■必要経費
必要経費を求める計算式はつぎの通りです。

必要経費=①年金年額(上記の計算式で計算した金額)×②払込保険料の合計/③年金の総支給見込み額

たとえば

①100万円、②90万円、③1000万円のとき

必要経費=100万円×90万円/1000万円=9万円

になります。

 

払込保険料の合計は月払の場合、(月払保険料×12カ月×払込期間)で計算できます。

年金の総支給見込額は、年金の種類によって異なります。

代表的な「確定年金」と「保障期間付終身年金」を例に計算例をあげてみますね。

確定年金
総支給見込額=年金年額×支給期間

保証期間付終身年金
年金年額×余命年数と保証期間年数のどちらか長い年数
※余命年数は、年齢と性別で異なります。

2.雑所得の計算例

契約者・年金受取人:本人(女性)
年金受取開始年齢:60歳
年金年額:37万円
基本年金36万円+増額年金1万円。増加年金はなし
払込保険料の合計:300万円

確定年金の場合

■必要経費
年金年額×払込保険料の合計/年金の総支給見込み額=必要経費
37万円×万円/37万円×10年=30万円

■雑所得
総収入(年金年額)-必要経費=雑所得の金額
37万円-30万円=7万円

・10年保証期間付終身年金の計算例

■必要経費
年金年額×払込保険料の合計/年金の総支給見込み額=必要経費
37万円×300万円/37万円×23年=13.04万円
※年金の総支給見込み額は、10年の保証期間より余命年数のほうが長いため、60歳・女性の余命年数の23年を使用。

■雑所得
総収入(年金年額)-必要経費=雑所得の金額
37万円-13.04万円=23.96万円

どちらも、雑所得は25万円未満なので、源泉徴収はされません。

3.まとめ

もし、年金以外に所得がなければ、2例とも基礎控除の範囲内(48万円以下)となり、所得税はかかりません。

なお、個人年金の雑所得は25万円以上になると、保険会社が10.21%の源泉徴収を行います。

つまり、手取りは89.79%になるということ。

そして、源泉徴収されても、「源泉分離課税」のように課税関係が終了するわけではないので、確定申告で税金の精算が必要になります。

他の所得と合計して税金を計算し、状況によっては、税金が戻ってくることもあります。

 

 

 

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佐藤ひろ美。ファイナンシャルプランナー(AFP)・資産形成アドバイザー。 栃木県宇都宮市を拠点に活動。特定の金融商品に片寄らない中立安全な場を提供し、今も老後もパッと明るくなる資産形成をご案内。北海道から九州まで約800件もの資産形成や家計改善をサポート。 自分も家族も大切にして今よりもっと彩豊かな人生を楽しむための方法を教えます。